増田を書いたきっかけへの単純な興味

さっきamazonのCDランキングを見たが、本当に唖然とした
 元増田は音楽に対して真剣な思いがあることがわかるだけに、最初の煽り口調でだいぶ損してるよな。詳しくは見てないけど、トラバツリーにもちゃんとした返信をしているようだから、元来はしっかりした人なんだろう。ただ、本人も書いてるように元増田を書いたときは頭に血が上ってたんだろうな。
 エントリ自体への感想はブコメで済ませるとして(もう少し詳しく書いたとしたら、以下のエントリに近い。機械の歌声は不気味の谷を越えるか - こてゆびミルクティー)、ここでは元増田がエントリを上げたきっかけについて書きたい。
 そのタイトルを見ればわかるように、AmazonのCDランキングを見て、以前から募らせていた音楽業界への主張が文章になったのが元増田のエントリだ。そして僕が単純に興味を持ったのが、「何でAmazonのランキング見ただけでエントリを書くエネルギーが生まれたのか」ということ。
 デイリーだか週間だかは知らないけど、それってたかだか一企業の示したCDランキングじゃないか。もちろん、誰が提示したランキングでも自分の好きな歌手のCDが上位にあれば嬉しいもんだけどね。逆に不本意な結果であれば、ランキングという尺度自体から目をそらしちゃえば良いわけで。それをせずに、怒り心頭で増田にエントリをあげるに至った心理的な過程が知りたいね。
 というのも、AmazonのCDランキングから消費者批判って、道筋としてけっこう遠くないかな、と思ったから。
 これが、「今日ボカロ厨の友人と話してて耐えられなかった。今の音楽消費者はクソ」とかなら話はわかる。身近な人を見て感じたことがきっかけとなって、全体に思いをはせること自体は自然だと思うよ。増田によくあるパターンで、切り返しとしては「その友人の一例だけで音楽消費者全体を語っても説得力が無い」で終了するんだけどね。
 でも消費者批判のきっかけがCDランキングだとどうだろう。CD売り上げによってある程度の定量的な話ができ、批判の説得力もありそうな気がする。そうして元増田に目を戻すと、CDランキングを、単に消費者が流行に流されてることの現れとしか捉えられていなくて、説得力も何も無い。
 それはそうだ。土台無理なんだよね、AmazonのCDランキングから消費者の内面を伺うなんてことは。だからAmazonのCDランキングと消費者批判の間をつなぐものが元増田の想像力だけしかない。そうすると、「大して良くもない物が売れるのは、消費者がバカだからだ」という根拠のない主張になるわけだね。
 「バカ」とか「あれを良いと思う価値観がおかしい」とか、消費者の内面に踏み込んだエントリを書くのであれば、話のきっかけとしてはCDランキングよりカスタマーレビューの方が適している。件のCDならレビューもある程度の数があるだろう。そうして一定数のレビューを分析して、今の音楽消費者の内面を伺い、そこから批判へつないでいけば、もう少しエントリの説得力が上がると思う。
 結局のところ、AmazonのCDランキングがきっかけになった理由なんて偶然にすぎないんだろうけど、逆に言えば軽いきっかけで爆発しそうなくらい切実な音楽への思いが元増田にはあったんだろうなあ。これからは落ち着いて議論を重ねてくれるといいね。