秒速5センチメートルの感想における短文系と長文系について

そんなわけで。
そろそろ「秒速5センチメートル」の卑屈な読み方について一言いっておくか - 詩になるもの
上記のエントリに対する反応が見つかったので取り上げてみる。
そろそろ「秒速5センチメートル」の卑屈な読み方について一言いっておくか - clipping affair - clippingグループ

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前半はよく分かる。

>>「秒速5センチメートル」で鬱(だとされる)な部分<<
とやらは、「あんなに深く思い合った相手でも離れて時間が経てば片方が全然忘れてなくてももう片方はしっかり消化して過去にして全然違う相手と普通に結婚して幸せになったりするんだぜー」なところ、なんじゃないだろうか。

これで合ってると思う。とりあえず僕が言いたかったことはnarukamiさんと同じだと思うので、あとは書き方の問題だろう。"とうとう"を"結局"と書いておけば良かったのかなー

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後半については、観測範囲の問題だと思う。

そうした強い思い入れゆえに件の2作品から同種の負の感情を引き出されるという鑑賞者もまた存在するというのに

僕はエントリの最初に"2chニコニコ動画Twitterでよく見かけるような作品の読み方"と書いた。こういう場所で表現される意見は大抵短文なんだよね。対して、ブログ圏などでは長文の感想もあることはもちろん知っている。ここでは両者を短文系と長文系と呼ぶ。
"強い思い入れ"を言語化したらnarukamiさんのようにある程度の文量になるだろう。だから、そのような鑑賞者は総じて長文系の中にしか観測できない。短文系の中からしっかりした根拠をもってアニメを観ている鑑賞者を見出すのは原理的に不可能だ。根拠が書いていないから当然である。もしかしたらこの短文の背景にはしっかりした根拠があるのかもしれない、ということはもちろん考えながら個々の意見を読んでいる。そこはぬかりない。
僕は短文系の意見を読んで不快になり、それらを叩いているわけで、明確な理由のある長文系の意見は叩きの対象外だ。これは当然だと思って書いていなかった。その点について誤読させてしまった方には申し訳ない。
だから、長文系の意見をより分けろという批判は当たらない。"乱暴な一般化"はしていないつもりだ。
既述のように、短文系の意見は短文であるが故に長文系のような深い考えが背景にあることは読み取りにくい。少なくとも僕が今まで読んできた短文系の感想には、しっかりした根拠があるとは到底思えなかった。だから彼ら(としか表記しようがない)が「安易に一緒くた」にしていることは確信している。その確信こそが「安易」だと言う批判は甘んじて受けるけれども、短文のテキストから"強い思い入れ"などが読み取れない以上仕方がない。
それならば僕が今まで読んできたという短文系の意見を具体的に例示しろ、という話になる。現実に存在する短文系の意見をTwitterなどから取り上げてテキストに依った批判をすれば誤解は避けられたかもしれない。しかし、それをやると一人の人間を叩くことになる。あのエントリは"サンドバック的に殴る"という趣旨で書いていたので、具体的な個人の意見を批判するとその趣旨からは外れてしまう。だからやらなかった。
ここまで読めば、僕が"「安易に一緒くたに」鬱アニメと呼ぶ人々を断じ"ていないことは分かってもらえると思う。
批判されるとしたら短文系の意見を取り上げて叩いているその手法の無意味さ*1くらいだけど、それはもう僕の勝手だろう。無意味なことを自覚しながらやってるので。

鑑賞や批評というものはそれを行う人間の生き様そのものであるからして、批判するならするでもう少し丁寧にやってほしい。

あのエントリのカテゴリを「論」ではなく「観」にしてるのは何故か、と考えてもらえば分かるかな。*2一定の論拠も示しているけど、結局は非常に主観的な文章なんだよね。だから、ゆのっちメソッド(「お前がそう思うんならそうなんだろう、お前ん中ではな」)は有効だけど、丁寧さを求められるのはちょっと違うかなと思う。本気で誰かを説得しようというエントリなら僕ももうちょっと丁寧にできるだろう、多分。あれは"ぼくのだいすきなびょうそくごせんちめーとるをばかにするな!"というエントリなので。
とはいえ、自分の言葉と認識を磨いていきたいなら、何事も丁寧にやった方がよい。いただいたご指摘は今後の文章活動に活かそうと思う。
あと、ついでにあのエントリについたブコメを引用しておこう。

作品の内容なぞ関係なくスイッチになっちゃうんだからしょうがない。

http://b.hatena.ne.jp/temtex/20100803#bookmark-23617396

確かに、短文系のレスというのはほとんど脊髄反射的に書かれているようだ。僕もニコニコ動画などで何かを観た時に、いくつかの表層だけを見て脊髄反射的にコメントすることがよくある。そのようなコメントに、根拠などはないし、「無根拠で考えなしに言ってるだろお前」と言っても詮無いことだよなー、と思う。
だから、読んでイライラするならその手の短文系・脊髄反射系の意見が出るコミュニティには行かなければいい。narukamiさんのような長文系(ブログ圏)の人たちと絡んでいれば、僕が望むような深い考えの交換は果たせるだろう。*3だけど、実際には2ch・ニコ動・Twitterなどからは(コンテンツの面白さ的な意味で)離れられないわけで、結局はスルー力鍛えるしかないのかなー、というところに落ち着く。

草稿

このエントリの下書きみたいなものをTwitterに書いていた。Twilogから読める。読む意味は特にないだろうけど、一応貼っておく。
ハイキャンパス(@highcampus)/2010年08月07日 - Twilog

*1:2chまとめブログに載ってるレスをはてブなどで一方的に批判する類の意味のなさ。当該レスをした人はおそらくそのはてブコメントを読まないから、ブックマーカーの気持ちがすっきりするだけ

*2:観と論についてはブログでの議論の冴えたやり方 - simplemindの日記を参照

*3:こういう貴重な意見こそトラックバックを飛ばして欲しいものだ