ゲーム「僕と君の夏休み」 感想

そんなわけで。美少女ゲーム「僕と君の夏休み」をプレイしたので感想を書くよ。

本作は、2ちゃんねるVIP発の美少女ゲームだ。つまり同人ゲーである。暇人\(^o^)/速報 : 【VIP発】やったwww作ってたギャルゲ完成したwwwwwww僕と君の夏休みを読んで知った。公式サイトは下記のリンク。
僕と君の夏休み
ジャンルは「なつやすみ恋愛アドベンチャー」。8月中旬に美富島というところにやってきた主人公が、夏休みが終わるまで5人のヒロインと交流するのが主な内容だ。あとは一般的なギャルゲーフォーマットに則っている。
制作期間は3年にも及ぶらしい。"一昔前の商業レベル"を目指したという本作は、確かに同人ゲーとしてかなりのクオリティを誇っている。

キャラクター

キャラは立っていると思う。サブキャラの阿部さんなど露骨にオマージュしてるところもあるけど、オリジナリティが感じられる部分もあった。
主人公は2ちゃんねらーVIPPER)であり、思考や会話にもその手のネタが盛り込まれている。そういうのが嫌いな人には苦痛かもしれない。
ヒロインもしっかりメイクされていた。他ゲーとの差異という点では、特にあやめが「サバゲー部出身の猟師」という珍しい設定だった。基本的に5人のヒロインの扱いは平等なので、全員がメインヒロインと考えてよい。一番好きなのは紗耶かなー。

シナリオ

概ね良かった。主人公が幼少時に美富島にいた頃の記憶は失われていて、そのへんの事情がゲーム全体を通した一つの謎になっている。ヒロイン側の課題を解決しながら、これをシナリオ間で相互補完するという方法を取っている。
個別ルート間で、あるヒロインが自分のルートで思い悩んでいたことを他ルートでは何でもないようにしゃべってたり、忘れてたりということはあったけれども、致命的な穴というほどではない。
ただ、全ヒロインのルートにおいて夏休みの終わりである8月31日に必ず主人公は島を去る。そのためにヒロインとの課題解決が終わるとそのままルートも終わる感じになっていて、ヒロインとイチャイチャする時間はほぼない。だから、ヒロインと楽しいことをするのはゲーム前半に集約されていると考えておいた方がよい。
マップ選択や個別ルートでは選んだヒロイン以外が退場することが多い。例外的に楓ルートではけっこう他のヒロインが絡んでくるため、会話も賑やかで面白かった。
プレイ時間はゆっくりやってもコンプに10時間かからないくらいじゃないだろうか。僕はおそらく7時間程度でコンプした。
推奨攻略順は紗耶、楓あたりを最後にするといいんじゃない、というくらいかな。僕がプレイしたのはあやめ→もも→清理→楓→紗耶という順番だった。この順番で良かったと思う。

ヴィジュアル

複数原画、複数塗りであるため、人によって絵柄や塗りがかなり変わってしまうことについてはある程度許容している。もちろん統一感があった方が良いんだけど、不統一感も同人ゲーならではの味と考えるのもありだね。
立ち絵については、差分が豊かだったことには満足した。塗りの問題で、一部ヒロインの青ざめた顔がほんとに気持ち悪いくらい青いのが印象的だった。
画面演出には力を入れていて、このゲームの中で一番評価できるところだと思う。吉里吉里でもこれだけのエフェクトがかけられるとは知らなかった。小規模なアニメーションでも使いようによってはかなり効果的だと分かった。

音楽

BGM30曲はけっこうがんばってると思う。聞いてて疲れるとかいうこともないし。EDテーマもヒロインごとに違う曲が用意されている。中には初音ミクを使った曲もあったりして面白い。
ただ、BGM曲名「俺のオナニータイム」はいくらなんでもひどすぎるだろw

システム

コンフィグに基本的な機能は備えている。マップ選択式で目当てのヒロインを集中的に選べば個別ルートに入ることは容易い。
しかし、整合性の管理ができていない部分が目立った。具体的には、あやめイベントである情報を知り、その後マップでももイベントを選んで読んでいくと、先ほど知った情報を知らなかったように描写されていたりする。
また、マップ選択式イベントは日付固定でロックもされていない。つまり、あるヒロインの8月14日のイベントを読んでいなくても8月20日や8月24日のイベントを読むことが可能である。にも関わらず、そこでは8月14日のイベントで起こったことを踏まえて話が進んだりする。つまみ食い式にいろんなヒロインをマップ選択していくとかなり混乱するだろう。
なにげに一日の終わりに絵日記をつけるという点で独自色を出しているのは評価したい。

総評

2ch発ゲームとしては出色と言いたいけど、他に2ch発のゲームをやっていないからなんとも言えない。だから同人ゲーとして評価しよう。面白かった。点数で言うなら64/100くらい付けてもいいと思う(60が僕の一般的な作品鑑賞における及第点)。

関連リンク

シナリオ面の感想はこちらのエントリで詳述されている。当然ネタバレあり。
「僕と君の夏休み」感想(ネタバレ) - norishio33の日記