コミケC86・関東遠征記

そんなわけで。5ヶ月ぶりにブログを書くよん。
今年の夏コミケのために、というよりはそれを機に全国から集まるインターネットユーザーとオフで会うために、お盆休みは関東旅行することとなった。日付を追って振り返っていこう。

8月14日

宿のチェックイン時間に合わせて午後に京都を発つ。疲れて寝過ごすのが怖かったので今回は京都駅に着いてから当日の新幹線指定席を買った。新幹線乗り場東京行きホームに立てば自然と「たまこラブストーリー」舞台探訪ができるって寸法よ。
東京着いてからは適当に電車を乗り継いで宿へ向かう。少し雨が降っていたので難儀した。
宿に到着し、手続きを済ませて部屋へ入る。他に宿泊客はほとんどいないようだった。外装・内装共に長い歴史を感じる(婉曲表現)。テレビがアナログ(デジアナ)だったり、クーラーが古くて調子悪い上にリモコンがイカれてたり、網戸がないから虫が入ることを考えると窓が開けられなかったり、と思えば殺虫剤が置いてあって「虫はこれで殺して下さい」と言わんばかりだったり。古いのは仕方ないけど、部屋の冷蔵庫開けたらいつのものかわからない飲みかけのペットボトルお茶が入ってたんですがそれは。一応、振り返って考えると、宿の中でも数少ない冷蔵庫付きの部屋をあてがってくれたようだが……
とりあえずお腹が空いたので適当に宿の近所を散策してラーメン屋を見つけて入店した。味はまあまあ、満腹にはなった。
次の日の食料等を買って宿に帰る。クッソ熱い(たぶん45度くらいあったのでは)風呂、他に客もいないだろうから水でガンガン埋めつつ入浴。
当日まで全くサークルチェックをしてなかったので少し考えたが、オンラインカタログが混み合ってスマホから入れないっぽかったので諦める。催眠音声を聴いて就寝。

8月15日

1

早朝に起床、前日買ったおにぎりなどを食べて出立、7:00過ぎにコミケ会場へ。a-parkさんのサークル宇古木亭で売り子をする手はずになっていたのだ。
なんやかんやでa-parkさんと合流→入場→もう一人の売り子k-pさんと合流→準備→開場→買い物担当として各サークルを回るという流れ。コミケはまだ2回目のニュービーだったけど、前回で慣れたので多少の疲労はあれ特に問題なく回ることができた。自分の買い物は最初から考えてなかったので焦りもなかった。
東は艦これ島が予想通りの混み具合だったが、あとで行った企業ブースに比べればまだマシな方だった。あっちは外で並んで来た人たちが大勢発汗するから不快指数高かったのよね。みなとそふとブース等を軽く見て何も買わず一旦サークルに帰る。戻った時点で本はほとんど捌けていて、その後しばらくして完売。おめでとうございます(日当までいただきました。ありがたいことです)。
売り子として席に座ってうとうとしていたところ、k-pさんにTwitter実況され、コミケスタッフの方に熱中症ですかと心配されるウカツ。あとで気付いて恥ずかしかった。熱中症は東館で販売してたポカリでちゃんと対策したよ。

また出かけて、喫煙所でおにうさんやボチョコさんと会う。かみやまねき氏が少し前に出していた艦これ本をいただく。ありがとうございます。
企業ブースでケロQの列整理を王雀孫氏がやっていると聞いてチラ見したが誰がそうなのかわからず。みなとそふと・戯画・まどそふとの合同無料配布に並んで「ハナヒメ*アブソリュート」の小冊子をゲット。a-parkさんやk-pさんに挨拶して会場を出る。

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一度宿に帰って恥ずかしい思いをしてから(後述)支度して飲み会へ行く。ハイキャンオフとかいう呼称がちらっとTwitterに流れたが、別に幹事でもビッグゲストでもない。中人さん・おにうさん・ボチョコさん・オラトリオさんたちと肉を食べ酒を飲んだ。その後練炭さんも合流して店を変え、おつまみを食べ酒を飲んだ。このメンバーで飲んだことはなく、驚く話やしみじみする話などがあり楽しい飲み会でした。
宿に戻っていろいろやりつつ就寝。

8月16日

この日はコミケ予定なし。やはり前日の疲れが来ていたのか、遅めに起きてぐだぐだしていた。昼頃から、夜に行われるバーストリンカー(隠語)飲み会、略してバ会の用意をmito2さんやpetrovichさんとやり始める。
準備の中で一番キツかったのは15日夜に会場である宿のスタッフの方と交わしたやりとり。

「すいません、〇〇御一行様みたいな紙がありましたら書いていただけますか」
「はい、なんと書きましょう」
「バーストリンカー」
「え?」
「片仮名でバーストリンカーでお願いします」
「部屋に貼る紙には"バーストリンカー"だと長くて書けないなあ。バースト様でいいですか?それともリンカー様?」
「あ、じゃあバースト様でいいです」
「わかりました」
「(悶絶死亡)」

かなり恥ずかしかった。団体名は「加速研究会」の方がまだダメージが少なかったのでは……

粛々と準備を進めてバ会開始。闇の宴が幕を開けた。嘘。和やかで楽しい飲み会でした◎
細部は書かないけど(年初に前回のバ会ハイライトとして会話内容の一部をツイートしたところ、わりと古くからのフォロワーが3人くらい減ったので反省してかなりナイーブになっている)、インターネットとかエロゲとかアニメとか小説とか艦これとかの話をする、よくあるオタク飲み会だった。バ的なところだと、a-parkさんが以前宿泊していたホテルを僕が特定した話をご本人とできたのでよかった(よかった)。あと、とある写真一枚から撮影場所を特定するという試みを数人でうんうん唸りながらやったのが楽しかったね。まあそういうアレな話はほんとちょっとしかしてなくて、大半はほんとにただのオタ飲みだったことをここに証言しておく。
個人的思い出の画像、はてなTシャツとバーストリンカーTシャツの歴史的邂逅(はてなTシャツを着ているのが僕)。
皆が持ち寄ったお酒やおつまみを存分に味わった。僕からのお土産はその場で食べず持ち帰るような品だったが、やはりその場限りの食べ物の方がよかったかなと思った。参加者とTPOによるけど。
メロン日本酒、初体験だったけどとても美味しかったです。DG-lawさんが隣でだいぶこの酒の魔力にやられていたのでもうちょっと早く止めればよかった。

コミケ3日目を控えてる人がいたから、あまり徹夜で飲み明かすことができないのが残念だった。かくいう自分も多少の用事があったので次の日のことを考えてキリのいいところで後片付けし、眠りについた。

8月16日

1

遅く起きてコミケは一般入場。litfさんのサークルLost in the Frontlineでlitfさんと僕との「ギャングスタアルカディア」対談を収録したコピー本が無事発行された。挨拶して一冊いただく。
適当に買い物。サークルチェックしてないからそんなに出費しないだろと高をくくっていたが、東で艦これ島を一周りして十冊くらい買ってしまう。あかん。
西でOYOYOさんに挨拶してエロゲ本を買ったり、八重ナギさんに挨拶して(好青年だった)ラブライブ!本を買ったり、みつきさんに挨拶してWA2本を買ったり。みつきさんに「WA2」はアニメだけ見てゲームはまだ未プレイである旨を伝えたところ「はぁ?とっととやれよ」的リアクションをいただいたのが思い出に残る。できれば近いうちにやりたいです。
続いて、永倉大さんとお会いして、20分くらい(?)話し込む。お約束の「北池袋を灰にしなければならない」という話や、椎原旬さん・SEVEN-WONDERが素晴らしいという話を聴くなどする。僕は「神聖にして侵すべからず」がよかったのでPULLTOP丸谷秀人ラインを攻めたい、などと言った。今度またゆっくりお話したい。
総じて、やはりコミケでアイサツする際はアイコン印刷したプレートを胸に付けておくのがサイッキョということがわかった。すぐわかってもらえる。
みなとそふとサークルはあまりなかったけど、一応一周ちらっと見るくらいはしていて、もう一回来てじっくり見ようと思ってたらサークルが後片付け後だったりしたのが少し残念。
閉会の前に会場を出て宿に戻る。

2

夜は疎水太郎さんと2年ぶりにお食事をご一緒し、アニメやエロゲなどの話に花を咲かせた。「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」や「ソウルイーターノット」よかったですねーなど。元長柾木の作品には煙幕が多いが、煙幕を取り払うとロマンが残るのでは、という話に頷くなど。大槍葦人原画エロゲで「少女魔法学リトルウィッチロマネスク」は素晴らしいのでやるとよい、とか。お願いしてスケブに絵を描いていただいた。ありがとうございます。京都土産も渡せたのでよかった。

8月17日

1

宿を発って築地へGO。ススミハジメさんに教えてもらった、中栄というカレー屋へ行く。インドとビーフのあいがけというのを美味しく食べた。今度また東京来た時には、いろんな海鮮料理の店に行きたいと思う。築地市場の注意点は、スーツケースみたいな大きい荷物を持って見学できないから、駅のロッカー等に入れておく必要があること。市場の中にもロッカーはあるらしいけど、使えるかは調べてないので不明。

2

一路川崎へ。「まじこい」舞台探訪として、まずは年初に混雑してろくに見学できなかった川崎大師に向かった。
まずは普通に参拝した。その後100円のおみくじを引く。ありとあらゆる物事に支障が出るという凶を引いてしまい目の前が真っ暗になった。気を取り直して。

「まじこいS」OP30秒頃に登場することでおなじみの香炉。


7月の風鈴市の名残か、日本全国の風鈴が飾られていた。

川崎大師の前の仲見世通りも「まじこい」の背景画像の元ネタになっている。松屋の飴総本舗さんへ足を運び、お土産を買った。買い物が終わってお店の方と話していると「まじこい?」と聞かれたので「アッハイまじこいです」と答えると、店の日陰に案内されて聖地巡礼ノートを読ませてもらった。
何十人というまじこい舞台探訪クラスタがコミュニケーションノートを書いてるので、お店の方のオタク識別能力が上がっているのかもしれない。ちらりと僕の風体や荷物を見て洞察したお店の方はすごいと思った。もしくは僕が普通にオタっぽいのか。

「なんかアニメの大会?があったんでしょ。行ってきたの?」
「アッハイ行ってきました」
「パイプ椅子出すからそこに座ってノート見ていって」
「スンマッセン!」
「はいお茶もどうぞ。ただの麦茶だけど」
「ホントスンマッセン!」

という感じで親切に応対してもらってありがたかった。

ノートには多くの人たちの「まじこい」愛にあふれたコメントやイラストが書き込まれていて胸が熱くなった。この日の時点で2冊目の後半になっていたので、来年には3冊目かな? アニメ版のプロデューサーのお名前もあったり。僕もせっかくなので記念に書かせてもらった。

お礼を言って松屋の飴総本舗さんを去り、川崎駅のラ チッタデッラを訪れた。


噴水ショーを見たりしつつ、中のショップを巡り、ハンチング帽を購入した。今使ってる帽子は夏にはちょっと暑い感じがするので、やや涼しい印象のものを選んだ。
まだまだ川崎散策をしたいところだったが、今回はひとまずこれで帰ることに。「ええっ 横浜には新幹線が通っていないから新横浜に行かないといけないのかい?」という驚きを感じながら(お前何回新幹線乗ってるんだよ)移動。無事新幹線に乗ることができ、京都に帰り着いた。

以上が今回のC86に合わせた関東旅行の記録だ。主に自分があとで振り返る用のエントリなので、エンターテイメント性を考えて文章打ってないけど、旅の楽しさが伝われば幸い。
反省点としては、旅行用の小さいノートPC・タブレットはやっぱり要るなーということ。先代ノートPCが壊れてるので、何か買わないといけない。
いろんな人たちに会って話をすることが刺激になってよかった。今回は東京や川崎の街並みも多少散歩することで味わうことができたので満足度は高い。またコミケなど関係ない時期にも行ってみたいと思ってはいる。なかなか難しいが。
各種飲み会やコミケ会場等でお話してくれた方々、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。京都もいいところなので是非来てみてください。

ゲーム「うさみみデリバリーズ!!」感想

うさみみに意味はない

そんなわけで。すたじおみりすの燃える青春お届けラブエロ萌えコメADV「うさみみデリバリーズ!!」を終えたので感想を書く。
賑やかで楽しげで、惚れ甲斐のある女の子に溢れたいいゲームだった。そしてまたも(個人的に「Treating2U」以来の)主人公好青年ゲー。
いきなりヒロインたちについて。可憐ちゃんが非常に捨てがたいんだけど、一番好きなのは莉央姫さんかな。誠実で「いい女」なんだよね。おたまとねこのデレも破壊力がマジパない。べるのは癒やし(北都南さんがナイスキャスト)。
総じてヒロインは魅力的なんだけど、まずその魅力を見つけることができる主人公・Q太郎の視座が素晴らしいと思った。この娘はこういうところがいいんだ、というモノローグにいちいち頷ける。
本編はゲーム内時間で数日のできごとなんだけど、攻略進めるとその数日で各ヒロインのことが好きになっていて不思議、というよくあるエロゲワンダーを味わった。共通部分が多いから、各ヒロイン固有のパートってそんなに長くないのにね。2010年代の白箱系エロゲだとわりと意識されているであろう「くっついた後のイチャラブ期間」も全然ないし。
それでもゲーム中にヒロインに対する好感度がどんどん上がっていくのは、やっぱり随所に見えるエロゲ作りの巧さによるものだと思う。
全体的にテキストの練度が高い。台詞に「…………」みたいな沈黙が多いんだけど、それがいい間の使い方になっていたりする。カットイン等の画面を面白くする小技もえらく効いていて、約10年前当時のゲームは「姉しよ」「C†C」とか以外ほぼ全然知らないけど、多分当時の業界標準から見て上の方だったのではないかと勘ぐる。イベント画はそこそこで、時折エロかった。音楽も慣れ親しむほどに心地よく感じられた。

浮島の一番熱い夏

ゲーム全体の印象としては、僕はどこかつかみどころがなく、またそれが好ましくもあると感じた。キャラクターが背負った周辺的な設定とかバックグラウンドとかはけっこう広大なんだけれど、このゲームはそれらをあえて書ききらなかった。各ルートで語り残したものがまとめて語られるグランドエンドが、ありそうでない。何か大きなものから、ぽっかりと切り離されたものに触っているような感触がする。
それは、地理的に日本本土から離れた浮島という舞台のせいでもある。仮に本土や外国とそこに住む人々にまつわる情報がなければ、浮島はあまりにも外界から隔絶されすぎ、眺めていて現実感を喪失しそうになるだろう。適度な情報量によって、地続きならぬ海続きになんとなく外の世界がぼんやりと感じられるようになっている(ねこ・紀里亜)。
また、折しも作中の季節は夏、それもお盆に差し掛かる時期である。どことなくこの世と別の世界の境界すらもぼやけ、普段は見えないものがぼんやりと見えてくる(みちる・莉央)。
この、どこからも近くなく遠くなく在るという浮島の存在感がなんだか好きになった。そこで懸命に生きてみたり(おたま・SS)、そこから昇る宇宙に思いを馳せてみたり(べるの)、どこからも距離を置いているが故にどこをも志向できるという自由さがある。*1
お話単体で見ると、べるのルートが味わい深い。テックが(本来の設計意図とは異なる形であれ)人を幸福にすることを祈らずにはいられない。
みちるルートも、彼女が言う「わからないことをわかること」がなんだかしっくりきて、わけがわからないままに情が移ったし、たとえ彼女が観るビジョンを共有できなくても、ただ抱きしめたいなと思う。

デリバリストよ永遠に

そんなわけで、おすすめされて始めた「うさみみデリバリーズ!!」は面白かった。初みりすだったけど、つかみはOK。インストール済みの「SinsAbell」はいずれまたということで。
うさみみデリバリーズ!![アダルト]
うさみみデリバリーズ!! [アダルト]

*1:ところで、軌道エレベーターがこの作品をSFファンに紹介するためのアドバルーン的に使われてるようだけど、実際のところ新船橋市の生活描写のディティール自体が既に十分すぎるほどSFだよね。

ゲーム「真剣で私に恋しなさい!A-3」 感想

そんなわけで。みなとそふとの武士娘恋愛ADV「真剣で私に恋しなさい!A-3」をプレイした。やっぱ「まじこい」は楽しいっすね(恒例)!
スタッフ日記にあった通り、ボイス飛ばさずにプレイしたら大体13時間くらいで全部終わった。今回ももちろん「明るく楽しい」みなとそふとらしいゲームに仕上がっていたけれど、李静初/ステイシー・コナー/松永燕という3ヒロインに共通するのはなんつっても「年上」であること。奇跡のお姉さんカーニバル、開幕だー!
全体的に、「まじこいA」シリーズから九鬼家関連の描写がいっそう増えてきていて、大和が九鬼に就職してからの話もあり、もはや学園ものから職場ものにシフトしてる感さえある。風間ファミリーがメインキャラからサブキャラになったような印象も受ける。そのへんは寂しさもあるけど、わりとスムーズに後景化できているんじゃないかと思った。収めようと思えばすんなりとサブキャラに配置もできるんだなと。もちろんキャラの魅力自体はそのままである。お約束の京エンドもあるし。
以下、ヒロインごとに。

李静初

度々言っているように、目の前の人物を指して、身近な人間を例に出して「***みたいな人だ」と形容するテキストが好きだ。今回は李さんの「自然な笑顔は素敵だけどなかなかそれが見られない」ところがまゆっちに似ているとのこと。なるほどね。
3-Fのお姉さんたちが素敵だ。ステイシールートでも言われるように、李さんの大和に対する愛情は母性愛的なところがあるんだね。大和自身は咲に対してマザコンの気があるものの、李さんについては母性愛は受け止めつつ彼女に返すのは弟性愛という風に見える。優しい李さんだけど、だからこそ彼女に"怒られたい"という大和の気持ちはわかる。
川神学園でいろんな人達の一日を追うところ、スグル・ゲンさん・矢場先輩というキャラのセレクトがいいところを突いている(矢場先輩A4追加希望勢並の感想)。
死んだフリ世界大会、いやあこれは楽しいイベントだった。ゾズマさんについてもだんだんと人柄がわかってきたな。揚志のつけパンはNG。それにしても李さんの異能が有用すぎる。
夜のこと、まろやかに表現する李さんは淑やかで好ましい。しかしHシーンはどれも素晴らしかったな。タカヒロ作品でたまにあるRPH(ロールプレイエッチ)にもしっかり対応できる、李さんはとても優秀な女性だった。
蛇の言葉「臆病に生きろ」が李さんの中で実際どのように息づいていたのか、推し量ることは難しい。自分がまともな人間であるか自信がないという思いから大和に向き合えなかったあたりが端的な臆病さだろうか。僕もクラウディオと同じく彼女はまともだと思うけれど、どちらにせよ、それは恩人や友人、恋人と絆を結び健やかに生きていくことと相反しない。
CG第1枠とラス枠の対比が美しかった。

  • 一子「お肉はトモダチ! ジャーキーもトモダチ!」大和「お前友達くうなよ」で今作中一二を争うくらい笑った。
  • 那賀ちゃんに罪は一切ない。
  • エアガイツ懐かしい。ダッシャー猪場が好きだった。
  • 大和(とキャップ)はどんだけゲンさん好きなんだよ……僕も好きだよ。

松永燕

燕が主導権を握った未来

松永燕さんは、欲しいものをがんばりすぎるくらいがんばって手に入れる女の子であった。大和は燕さんの恋人になり、彼女の望みは大いに叶えられた。「まじこいS」燕ルート本編って、僕は欲望の話だと思っていて。その続きを作ると、自助努力で願いを叶える次のステップに至るのは当然ではあるのか。自分ではどうにもならない(どうにかすることに限度がある)ものの代表例が、他人の気持ちだろう。ましてや家を出て行った母親と残された父親の気持ちなんて難儀すぎる。しかし希望が潰えたわけではない。幸せな家庭を取り戻すため、走れ、スワローガール、走れ!
ミサゴさんがとっても魅力的なので、トラップ回避がなかなか際どかった。直江家と松永家で家族ぐるみのお付き合いするところが気持ち温まる。景清父さんの信頼性がスゴイタカイ。
足でガン攻めしてくる燕さんの表情がたまらない。ミサゴさんとのハプニングで燕さんの目からハイライト消えた時はさすがにもうダメかと思った。

大和が主導権を握った未来

燕さんとのお風呂い(「お風呂う」の名詞化)、いいね! 軽いSMプレイ、いいね! 平蜘蛛スーツで四つん這い、いいね! と形而上のいいねボタンを押しているうちにシナリオが終わった。

  • 「川神いい加減にしろよ」「ノーカラテ・ノーニンジャ」など、今「まじこい」こそエロゲ界で一番忍殺パロが盛り込まれたタイトルなのでは。
  • クロエ・ルメールネタの仕込みからシナリオが書かれた時期を推測する遊び。

ステイシー・コナー

熱く元気が出る「まじこい」らしい話だった。2009年から3年後ということで大和も徐々に武力を身につけつつあるところ、バトル物の様相もあって面白い。肝心のステイシーさんはテンションの上がり下がりが激しく、最初は面倒さも感じさせるけど、一緒に過ごしていくうちに独特のノリが楽しくなってきた。ダウン時にもアップ時にもそれぞれのかわいさがある。素で美人だから髪をくくったりおろしたりするだけで新鮮なときめきを覚えた。
また、各キャラの2012年における姿を見聞きできるのもこのルートの魅力だった。選択肢次第では千花と男女の関係になっていて軽い驚きがあったけど、こういうのもシリーズ内では新しくていいね。
タレ目派からの刺客(?)シェイラ・コロンボちゃん、蓋を開けたらかわいかった。ころっと大和に惚れちゃうところもよし。スキルも有用で実務もできるっぽいし、従者層がまた厚くなった感あり。シェイラちゃんとの結婚エンドもそれはそれで、といういつものやつ。
従者といえば他にチェ・ドミンゲスやラウル、ドキューなどといった従者にもディティールが追加されてどんどん濃くなってきた。あずみさんや李さんもいるし九鬼が働きがいある職場化してて何よりね。そんな従者若手面子で序列争奪が行われるわけだけど、若手はいいとこ壁越え手前くらいの強さだからマスタークラスのような大味さがなくて逆にバトルが面白いというところはあった。今作であずみ・李・ステイシーのそれぞれに従者部隊序列1位になった時の異なる長所がある、というところが示されたのは興味深かった。
ステイシーさんのウルトラロックはハチワンダイバーを思い出させる。まじこいAパッケージ版ではUR状態での獣のようなSEXとか追加されないかね。

  • モロが言う「仲間だからこそ…かっこ悪くて言えないこともあるんだ」っていうの、すごくわかるなあ。

  • テキスト、気の置けない仲間同士での打ち解けた会話っていうのがほんと飛躍的に巧くなってると感じた。あまりに自然で言語化することすら忘れそうなのでメモしておく。
  • 今回CGの塗りがかなりよかったと思う。燕さんやステイシーさんがお風呂入ってる時の肌の質感とか。全体的に肌の感じはどれも柔からさがあって好みだった。
  • BGM、書き下ろし曲は「さざなみ」「この女性、猛禽類につき」「覇を競う者たち」「優雅で勇敢な人の曲」「ぽかぽかびより」の5曲で合ってるはず。どんどん曲が増えていく。「この女性、猛禽類につき」は曲名も含めてミサゴさんらしくて好き。あとシェイラちゃんの「24時のメイドさん
  • まゆっち役九条信乃さん復帰おめでたい。やっぱりこの人じゃないとしっくりこないフレーズっていうのがあるんだよね。
  • チュートリアル、ムサコッスはA4・A5でどこへ向かっていくんだろう……
  • 掛け合い集
    • 南斗星さんがティンカオと再会できたようでよかった。
    • 魔まマ叛逆パロディのケーキの歌がひどい。
  • A4、攻略人数と値段が変更になるかもしれないとのこと。焔ルートは大和「達」が九州に行くお話、林冲ルートは梁山泊が川神に来るお話ということらしい。2014年夏、また数ヶ月ゆっくり待とう。

まとめ

母性に近い愛で包んでくれる李さん、イニシアティブ次第で豊かな可能性を魅せるリトル・デビル燕さん、ロックンロールな姉貴分ステイシーさん、三者三様のお姉さん達との明るく楽しい日々が存分に味わえて嬉しい。テキスト・原画・演出等各要素もさらによくなってきているし、「まじこいA-3」はシリーズの中堅どころとして大役を果たしたと思う。いいゲームだった。
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ゲーム「Treating 2U」 感想

そんなわけで。BLUE GALEのほのぼの入院生活AVG「Treating 2U」を終えた。
巷説どおり主人公ゲーだった。堤伊之助が好青年すぎて困る。外見に見合わず人当たりがとてもいいんだよね。好感をもった。
主題歌であり表題でもある「Treating2U」については、曲自体のよさもさることながら、曲が生まれる際のエピソードが胸を打つ。正確に言うと、どんなエピソードからでもこの曲が生まれるということが。
堤伊之助が将来どのような職へ就いて生きていくかは、一緒に過ごすヒロインによって数奇に変化する。音楽に関わっていくところは同じだが、ミュージシャンとして世界的に大成功したり、小さな規模でがんばってたり、裏方に近い仕事をしていたりといったバリエーションがある。
各エンディングの一枚絵を見ると、服装はもちろん、伊之助の髪型までもが全て違っている。寄り添った女の子がそれぞれ伊之助の身に変化を与えていることがビジュアルからも窺えるようになっているわけだ。
かように様々な未来へ踏み出していく伊之助なんだけれど、その未来の多様性と対照的に唯一つ変わらないことがある。それは、本編でどんなヒロインを選ぶ運びになっても、彼が極点で作り歌う歌は「Treating2U」ただ一つであるということだ。
伊之助が大切な人のことを想って歌を作ろうとするとき、想い人が誰であっても、自分の心の中から必ず一つの曲を導き出す。いつだって「Treating2U」へと至る。そのことに、僕は感じ入るものがあった。
***

杏菜「・・・きっと、幸せだったん、だよね・・・でなきゃ、歌えない・・・歌だもの・・・」
(伊之助END)

彼は"幸福を武器として闘う者"*1だったのだな、と思う。ならば、"斃れてもなお"。
***
郁乃が好き。
Treating 2U

*1:三木清「人生論ノート」

「CUFFS/Garden問題」と「トノイケダイスケ/Garden」問題

マルセル氏のツイートをまとめました。

1 CUFFS/Garden問題、小さな善意と自己満足

2 トノイケダイスケ/Garden問題、作家性・商業性・作品性

ゲーム「真剣で私に恋しなさい!A-2」 感想

クッキー4ISが親指を立てながら溶鉱炉に沈んでいくシーンは涙なしにクリックできませんでした(挨拶)。
そんなわけで。みなとそふとの武士娘恋愛ADV「真剣で私に恋しなさい!A-2」をプレイした。やっぱ「まじこい」は楽しいっすね(「A1」と全く同じインプレッション)! 前作と同じく1ルート4〜5時間程度で3ルート、合計プレイ時間15時間程度のボリュームだった。7月12日のスタッフ日記にも"今回の全ボイスの再生時間を計算してみたのですが、合算すると大体14時間28分になりました。ボイスを全部聞いてプレイしてると15時間位掛かりそうですね。"とあり、ボイスを飛ばさず進めた僕のプレイ時間と合致する。
攻略ヒロインは葉桜清楚・九鬼紋白・クッキー4ISの3名。シナリオは熱い学園制覇物語、ハートフルラブラブ新妻日記、ロボっ娘との賑やかな毎日とバリエーションに富み、どのルートもブランドコンセプトである「明るく楽しい」が徹底している。
さて、僕は「まじこいA1」の感想の中で、主人公・直江大和と各ヒロインのストーリーにおける関係性が「まじこいS」で顕著だった「あの***が鬼畜軍師の毒牙に……」系でなかった点を褒めた。あの時は「A1」による相対化を踏まえて、例えば清楚ルートは再び毒牙系のシナリオになるものと予想していたけれど、実際にはそのテイストは強くなかった。ゲーム全体からは)「まじこい」無印に立ち返ったような、ヒロインの成長とそれを見守り助けながら感化される大和という構図が見て取れた。*1特に覇王とアイエスは放っておけない危うさがあって、大和もカラーひよこをニワトリまで育て上げたスキルと情熱をもって彼女らに付き合っていたため、僕も一緒にハラハラしながら行く末を案じていた。
以下、ヒロインごとに。

葉桜清楚/覇王

一色ヒカルさんのヒロイン力はまさに圧巻の一言。「まじこいS」の頃から思っていたけど、氏に正統派美少女である清楚さんを任せたタカヒロさん・みなとそふとのキャスティングは素晴らしい。もちろん覇王・項羽との二面性も考慮してのことだろう。今あらためて一色さんの声に宿る美少女性に感服している。
清楚さんは文学少女かわいくて、覇王様は顔面火計かわいい。項羽の「んはっ!」って笑い声がいかにも残念な王様っぽくて好きなんだよね。
このルートはバトルが多めで、序盤の覇王覚醒後メインとなるのは模擬戦での学内試合とそれに伴う覇王の成長、清楚さんとの恋愛。
壁を超えた強さのキャラも随分増えたけど、覇王はマスタークラスでもかなり上の方だから一撃一撃に威力があって爽快。覚醒から即百代を始めとする強者たちとバトルの連続で盛り上がった。
その後大和を軍師として迎えるわけだけど、その会話の冒頭で泣きそうになっていたことが大和にばれないようぐっとこらえながらしゃべる覇王の声は一色さんの好演だった。テキストに出ない部分の演技はエロゲ声優の腕の見せ所だね。
模擬戦に関してはみなとそふとの演出レベルの向上が注目ポイント。動きのある陣形図なんかはわかりやすさの観点からもありがたいし、バトルのエフェクトもどんどんよくなっていると思う。賑やかしとして十分に機能しつつ、くどくもないし。
最初はマジでどうしようかと思うくらい脳筋でダメダメな覇王を使命感に燃えた大和がめげずに矯正していくところが主従ものとして面白い。他陣営のキャラもいきいきしていた。燕先輩ちょっと黒過ぎんよーと思ったけど、クレバーに立ち回る生き様を貫くところには胸を打たれたよ。
清楚さん、一つ上のお姉さんだけど、寂しいものは当たり前に寂しくって、それでも簡単に寂しいと言い出せないのがまたお姉さんなんだよな。彼女の日常を賑やかで楽しいものにしようとする大和に惚れる頃には、もういろんな人達にその様を見守られていて微笑ましい。告白はストレートに覇王の方からだったけど、なにげにヒロイン側から告白されることはこのシリーズだと珍しいよね。過激な寵愛として交換日記から始める覇王様超かわゆい。
Hシーンは覇王様もいいんだけど、清楚さんがすんげーエロかった。清楚ちゃんマジ性楚。あと覇王様:後背位、清楚さん:騎乗位はほんとわかってる。
シナリオ通して主従が熱く絆を結ぶ部分と男女の恋愛が6:4くらいでいい感じに配分されていて「まじこい」らしい仕上がりになっていた。
選択肢の累積が清楚さんよりか覇王様よりかによってEDソングとCGが変化する。歌はどちらのバージョンもよかった。
その他。

  • 相場破壊は基本
  • 俺もあずみさんのような29歳になりたいです!

九鬼紋白

「まじこいS」九鬼紋白ルート、同アフターの続きとなる。いきなり結婚式から始まり、九鬼家の仲睦まじさに涙腺を刺激されて瀕死になっていた。
九鬼紋白界隈では彼女の呼び名を紋白→紋ちゃん・紋様→紋様ちゃんと発展させてきたわけですが、再び「紋白」に還る時が来ている……!? などと与太を飛ばしつつ。
紋様ちゃんの冬服、色使いとフォルムがペンギンめいててかわいい。九鬼家・従者部隊で雪合戦→集合写真の場面にはジーンと来てしまった。今回から九鬼帝に立ち絵が付いて、一家の長らしくより前面に出せるようになったのは成功だったね。妙味あっていいキャラだし。
バレンタインからクリスマスまで、四季折々のイベントがあり、一年かけてじっくり紋様ちゃんとの新婚生活を楽しむことができた。紋白サンタには頬が緩む。
専属従者はステイシーと李から選ぶことができ、そこまで多くはないがちゃんとシーン差分が用意されていて生活に彩りを加えてくれていた。
選択肢で紋様ちゃんの肉体的成長を望み続けると、大きくなった彼女とのHシーンが挿入される。僕は幼女原理主義者じゃないから成長も全然あり。健やかに育った紋様ちゃんはすごく麗しかった。
総じて非常に和やかなルートで心温まった。
その他。

  • まさかのメフィストフェレス
  • ヒュームさんのソーラン節怖すぎィ!
  • クリ吉がクリスさんに
  • 性格反転川神キノコは「痕」おまけシナリオが元ネタなのかな?

クッキー4IS

アイエスちゃんはかわいいなあ!アイエスちゃんはかわいいなあ!!アイエスちゃんはかわいいなあ!!!アイエスちゃんはかわいいなあ!!!!
思わず取り乱すほどのカワイイを備えたアイエスちゃん、本作の中でもいっとう素晴らしいヒロインだった。
初登場はドレス(ワンピース)を着てトランクを抱えた美少女という風体でナイスだね! と思っていたらキャストオン→バトルから5分もしないうちに底が知れるというポンコツっぷり。「ち、違いますねぇ、誰がグリニッジ天文台で10秒って言いましたかねぇ、これは私の中での10秒であってぇ…」という台詞が出るにあたってもう完全にあかん娘確定。
アイエスちゃんはタカヒロさんお得意の「対等な立場同士の仲間による容赦無いボケツッコミ」が存分に発揮されていてよかった。口汚く思考回路がアレだが憎めない感じの女の子をいじり・おちょくりながら楽しくやっていくという、「つよきす」のカニを想起させる掛け合いが特徴。からかわれて輝くという点ではクリスや心とも似ている。
感情も豊かで、ドヤ顔からケタケタ笑い、養豚場の豚を見るような目、半泣き、ドン引きなど多彩な表情を見せてくれる。中でも「イヒヒ」とはにかんだ笑顔が一番かわいらしい。
シナリオは風間ファミリーとアイエスちゃんの楽しい日常を中心に、他のクッキーISとのバトルなども絡めながら、「A3」以降への謎(「M」なる人物の存在や「暁光計画」というキーワード)も残していくという内容。今作でゾズマさんが思ったよりも出番少なかったから、以降の作品で何か動きがあるだろう。
Hシーンは3シーンだけど、オナホコキ1・AF1なのでスタンダードを求めるとちょっと不満かもしれない。吐息がセクシーだった。
選択肢累積でクッキー4との絆を深めると3人で入浴イベント等あり、こちらも和やか。クッキー4のお姉さんぽいところがよかった。
このルートの情報公開を控えたタカヒロさんの戦術は実際正解だったね。実は発売前から密かに一番期待していたんだけど、アイエスちゃんの仕上がりが予想以上で、彼女の喜怒哀楽を追っていくだけで楽しかった。ぜひ今後もサブキャラとして出演してほしい。
その他。

  • 壊れ性能のディメンションチェンジ、概念攻撃無効などMOMOYOがどんどん人ならぬ領域へ
  • デッドリーコマンドで大笑いした
  • 今回の京エンド、「クライマー列伝」とかまた渋い漫画からネタ持ってきたなあ
  • 千葉繁さんもコミカルながら恐ろしいキャラクターでアイエスルートを支えてくれていた。惜しむらくは僕が「FF6」(「DDFF」)をやっていないことか。

カラスの唐揚げて。天衣さん不憫すぎる……(掛け合い「天衣ダイアリー」より)。
由紀江代役の遥そらさん、由紀江はよく演じておられたと思うけれど、やはり松風だけはどうしても違和を感じてしまう。あの付喪神を降ろせる九条信乃さんは本当に稀有な役者なのだよな。
「甦る戦場」「CYBER BATTLE」など新規BGMも追加され、「恋のAは真剣勝負」は前回同様各キャラアレンジVerが用意されている。このペースでいくと「まじこいファイナル」の楽曲数は相当なものになりそう。
A作品紹介コーナーで「A3」の骨子も紹介されており、3-Fのお姉さんたちに囲まれる学園生活を送る李ルート、九鬼家でのし上がっていく熱いストーリーのステイシールート、おかんが登場して風間ファミリーも強く関わる燕ルート(後日談)と人気の年上ヒロイン3人を揃えた超強力布陣がとても楽しみになってきた。発売時期は一応2013年末だが再検討後発表されるとのこと。

まとめ

とにかくアイエスちゃんが非常にかわいかったので、彼女のためだけにでもプレイする価値はあったなと思う。清楚さん/覇王様、紋様ちゃんも大好きだけれども。ヤドカリの真似でえへ顔ダブルピースしてるアイエスちゃんに萌え転がれるのは「まじこいA2」だけ!
真剣で私に恋しなさい!A-2ダウンロード販売

*1:"日常や掛け合いに重きを置いた、無印に近いシナリオ感覚になります。" http://www.minatosoft.com/majikoi-a/outline.php という公式のアナンウス通りということだ。

ゲーム「真剣で私に恋しなさい!A-1」 感想

そんなわけで。みなとそふと真剣で私に恋しなさい!A-1」をプレイした。
ファーストインプレッションは「いやー やっぱ『まじこい』は楽しいっすね!」ということ。2日かけてCG・テキスト・掛け合いまでフルコンプする間、全く集中力が途切れなかったものな(もちろん自分が「まじこい」ファンとして訓練されているおかげでもある)。ルートごとに休憩を挟んだけど、各ルートプレイ中はほぼぶっ続けでクリック&ホイールロール。ちなみに1ルート4〜5時間程度で3ルート、合計プレイ時間15時間程度のボリュームだった。
攻略ヒロインは武蔵坊弁慶・忍足あずみ・黛沙也佳の3名。今回はこのヒロインと主人公・直江大和の関係がよかった。つまり「まじこいS」マルギッテルートに代表される「あの***が鬼畜軍師の毒牙に……」系シナリオではなかったということ。
ここでちょっと「まじこいS」以降の話をまとめておこうか。僕の観測範囲では、「まじこいS」は燕さん・紋様ちゃんの新規ヒロインルートは及第点だったものの、マルさん・心ちゃん・辰子といった昇格ヒロインのルートがHシーン重点でシナリオの起伏に乏しい、という不満の声が少なからずあった。
僕の意見は「おいおい無茶を言うなよ。『まじこい』シリーズにおいては大和のパーソナリティが社交的だからかろうじて成り立っているけれど、もともとサブキャラのルートを新たに作るという時点で何らかの不自然さ(例えば、距離が近しい風間ファミリーの女の子を差し置いてどうしてS組の女の子の方へ行くのか)は発生してしまう。いくらwagiさんらがそれぞれの女の子に対して一ヒロインとしてもおかしくないくらいのキャラクターデザインを達成したとしても、やはりサブキャラが持つ可能性には限界があるだろう。そういう意味ではシナリオがHシーンばかりになることもしょうがない」というもので、積極的にサブキャラの攻略可能化を要望するユーザーとは距離を置いていた。
とはいえ、結局「まじこいS」では多くのヒロインを攻略可能化することでシナリオ類型・攻略パターンの引き出しの少なさを露呈してしまったというか、「あれ、昇格系ヒロインルートって『竿師大和の大活躍』で総括できてしまうんじゃね?」と気付いてしまったことは確かで。BGMの曲名にも「大和無双」とかあったし。
一人一人のヒロインごとでは満足なんだけど、作品を総体的に眺めると可能性的に大和のハーレムが築かれていることが見えてしまう。せっかく無印が群像劇的な性格を持っていたのに、ユーザーの要望を叶え続けた結果として主人公の特権性が必要以上に強調されてしまった、ということに僕や一部の人達はもにょっていた。
そういう流れのあとで「まじこいA」が発表されたため、「大和さんどんだけだよ」という反応があったことは至極当然。僕も「あーあ、ついに忍足あずみルートにまで手をつけてしまったか。これは心配だぞ」と思っていた。
ところがどっこい、「まじこいA1」のシナリオはシリアス色こそ濃くないものの、抜きゲーと揶揄されるほどHメインでもなく、いい感じにラブコメしていてバランスよく仕上がり、

日常や掛け合いに重きを置いた、無印に近いシナリオ感覚になります。

作品概要

とあるように、「まじこい」のプレイ感覚に近い明るく楽しいゲームになっていた。
ゲーム制作において何らかの制限があることが成果を生み出すことがあると思うんだけど、「まじこいA1」は「(本来主人公が攻略することに若干の不自然さが発生する)サブキャラを攻略可能にするユーザーの要望に応える」という制限をうまく成果に変えたな、という感想をもった。
2012-02-03追記:「まじこい」シリーズを俯瞰した時の大和のハーレム構造自体は変わらない、というかヒロインが増えるごとに強化されるんだけど。「まじこいA1」がこういう内容だったことで、今後「あの***が鬼畜軍師の毒牙に……」系シナリオが来てもある程度相対化して見られるという効果はあったかと思う。
以下、ヒロインごとに。

武蔵坊弁慶

人気投票第2位の貫禄を見せつけた。この娘に関してはもともと大和との相性もよく、だらけ部からスムーズにまったり系イチャイチャライフへ移行できると予想していたけどまさにその通りだった。望んでいたものが手に入ったという感じ。
個人的テーマソングは「守護心PARADOX」。"君が守りたいものに 守られてるかもねと"ってところが弁慶と義経ぽい。
義経・弁慶・与一の三人、本編で言われてるように風間ファミリーと似た雰囲気が漂っている。好きなエピソードは弁慶の口から語られたこれ。

弁慶「昔、与一にワカメと連呼されてて陰で泣いてた」
弁慶「ちなみに与一はその場で私にボコられ表で泣いてた」
弁慶「で。義経は与一大丈夫かーってかけよると、うるせえって言われて義経も泣いてた」
(六月二十七日)

なんだみんなして泣いてるじゃん、仲良しね。
その他。

  • 立ち絵を一部表示して誰の足か当てるクイズはわからなかった。不覚だわ……
  • 小雪の心イジメが相変わらず冴える
  • 押さない・かけない・正気を保つのおかしの精神
  • ついに草薙の剣と会話するようになった軍師
  • 太陽野子……
  • 義経ルートをプレイすることを「義経キめる」と呼ぶことが脳内閣議で決定

忍足あずみ

既述のように、あずみ攻略可能化には消極的だった僕だけど、これだけ丁寧にやってくれるならあり。(作中)時間をかけてゆっくりあずみを追いかけていく大和、こういう恋愛もいいね。歳月が経ってあずみ・京・ガクトのビジュアルが変化するところもポイント。従者部隊はステイシーや李さんなど良き上司が多くて羨ましい。

  • 紅茶ネタは「古色迷宮輪舞曲」でいいのかな?
  • アリの巣に水を入れる会……タカヒロさんの根暗系ネタ大好き
  • 百代姉さん、1シーン用意されている優遇具合
  • 弁慶ルートでもそうだったけど、鯉は一子に好意的だなー

あと、あずみが録音聴くところがエモい。「まじこい」発売から4年、僕もこの作品に対する想いには変遷があるし、そういうところを重ねて観ていた。
選択肢でフラグ積み上げておくと初夜がウェディングドレスになるっていうのは素晴らしい仕様。

黛沙也佳

ほぼノーマークだったところ、意外なムッツリぶりで好感を持った沙也佳ちゃん。大和+黛姉妹の空間に変態しかいない……ジト目もかわゆい。ノーマルよりの娘との青春は好ましかった。

  • 万華鏡幻魔拳→モンさんのインパクトがすごい
  • 「無意味無意味アンド無意味」など、やはりタカヒロさんなんJ民説は濃厚
  • 以前Twitterにも書いたが、ワンコイン→ワン子インという脳内変換が捗る
  • 京大勝利.mpg、ファイル診査の時点でなぁにこれぇと思ってたけど中身完全に某アニメ最終話じゃねーか。A1で一番笑ったわ
  • 射精音で「ビヒュオウ(ry」はやめてください腹筋が壊れてしまいます
  • 光龍覚醒、改めて百代さん人を超越しとる

新規BGMでは「進化」が好み。「恋のAは真剣勝負」は各キャラVerが用意されててそれぞれアレンジに趣向があり、よい。
演出も安定のクオリティで、立ち絵は例によってよく動くし、チップ芸も小ネタとして楽しい雰囲気づくりに貢献している。
掛け合いで忍殺ネタが……「辻堂さんの純愛ロード」アンケハガキでおすすめしたらスタッフ日記でタカヒロさんが「読みました」と書いてて布教成功とか言ってたのが昨年の出来事。しっかりパロっていた。
総じて、こんなに面白いゲームがまだあと4回も発売されるですって!? というくらい楽しめた。今後は「鬼畜軍師がサブキャラを毒牙に」系のシナリオも出ると思うけど(清楚さんとか)、A1がこういう内容だったことである程度相対化して見ることができるのではないか。そう考えるとヒロインのチョイスもよかった。A2からも引き続きプレイしていく予定。

余談

「まじこいS」にもあった描写だけど、大和が風間ファミリーを価値基準の物差しにしているようなところが好きで。人物と話している時に入る「この人はファミリーで言うと一子に似てるな」とか「ガクトタイプか」みたいなモノローグ。思考するときの例えがファミリーの面々になっていて、そのくらい心の基礎的なところに彼らがいるということが確認できてよい。
あずみルートで英雄が「葵冬馬に仕える井上準のような存在」という言い方をする場面があるけど、あれも冬馬・準・小雪の姿が彼の心に印象深いものをあたていたのだな、とわかってぽかぽかする。
真剣で私に恋しなさい!A-1ダウンロード販売