ゲーム「真剣で私に恋しなさい!A-3」 感想

そんなわけで。みなとそふとの武士娘恋愛ADV「真剣で私に恋しなさい!A-3」をプレイした。やっぱ「まじこい」は楽しいっすね(恒例)!
スタッフ日記にあった通り、ボイス飛ばさずにプレイしたら大体13時間くらいで全部終わった。今回ももちろん「明るく楽しい」みなとそふとらしいゲームに仕上がっていたけれど、李静初/ステイシー・コナー/松永燕という3ヒロインに共通するのはなんつっても「年上」であること。奇跡のお姉さんカーニバル、開幕だー!
全体的に、「まじこいA」シリーズから九鬼家関連の描写がいっそう増えてきていて、大和が九鬼に就職してからの話もあり、もはや学園ものから職場ものにシフトしてる感さえある。風間ファミリーがメインキャラからサブキャラになったような印象も受ける。そのへんは寂しさもあるけど、わりとスムーズに後景化できているんじゃないかと思った。収めようと思えばすんなりとサブキャラに配置もできるんだなと。もちろんキャラの魅力自体はそのままである。お約束の京エンドもあるし。
以下、ヒロインごとに。

李静初

度々言っているように、目の前の人物を指して、身近な人間を例に出して「***みたいな人だ」と形容するテキストが好きだ。今回は李さんの「自然な笑顔は素敵だけどなかなかそれが見られない」ところがまゆっちに似ているとのこと。なるほどね。
3-Fのお姉さんたちが素敵だ。ステイシールートでも言われるように、李さんの大和に対する愛情は母性愛的なところがあるんだね。大和自身は咲に対してマザコンの気があるものの、李さんについては母性愛は受け止めつつ彼女に返すのは弟性愛という風に見える。優しい李さんだけど、だからこそ彼女に"怒られたい"という大和の気持ちはわかる。
川神学園でいろんな人達の一日を追うところ、スグル・ゲンさん・矢場先輩というキャラのセレクトがいいところを突いている(矢場先輩A4追加希望勢並の感想)。
死んだフリ世界大会、いやあこれは楽しいイベントだった。ゾズマさんについてもだんだんと人柄がわかってきたな。揚志のつけパンはNG。それにしても李さんの異能が有用すぎる。
夜のこと、まろやかに表現する李さんは淑やかで好ましい。しかしHシーンはどれも素晴らしかったな。タカヒロ作品でたまにあるRPH(ロールプレイエッチ)にもしっかり対応できる、李さんはとても優秀な女性だった。
蛇の言葉「臆病に生きろ」が李さんの中で実際どのように息づいていたのか、推し量ることは難しい。自分がまともな人間であるか自信がないという思いから大和に向き合えなかったあたりが端的な臆病さだろうか。僕もクラウディオと同じく彼女はまともだと思うけれど、どちらにせよ、それは恩人や友人、恋人と絆を結び健やかに生きていくことと相反しない。
CG第1枠とラス枠の対比が美しかった。

  • 一子「お肉はトモダチ! ジャーキーもトモダチ!」大和「お前友達くうなよ」で今作中一二を争うくらい笑った。
  • 那賀ちゃんに罪は一切ない。
  • エアガイツ懐かしい。ダッシャー猪場が好きだった。
  • 大和(とキャップ)はどんだけゲンさん好きなんだよ……僕も好きだよ。

松永燕

燕が主導権を握った未来

松永燕さんは、欲しいものをがんばりすぎるくらいがんばって手に入れる女の子であった。大和は燕さんの恋人になり、彼女の望みは大いに叶えられた。「まじこいS」燕ルート本編って、僕は欲望の話だと思っていて。その続きを作ると、自助努力で願いを叶える次のステップに至るのは当然ではあるのか。自分ではどうにもならない(どうにかすることに限度がある)ものの代表例が、他人の気持ちだろう。ましてや家を出て行った母親と残された父親の気持ちなんて難儀すぎる。しかし希望が潰えたわけではない。幸せな家庭を取り戻すため、走れ、スワローガール、走れ!
ミサゴさんがとっても魅力的なので、トラップ回避がなかなか際どかった。直江家と松永家で家族ぐるみのお付き合いするところが気持ち温まる。景清父さんの信頼性がスゴイタカイ。
足でガン攻めしてくる燕さんの表情がたまらない。ミサゴさんとのハプニングで燕さんの目からハイライト消えた時はさすがにもうダメかと思った。

大和が主導権を握った未来

燕さんとのお風呂い(「お風呂う」の名詞化)、いいね! 軽いSMプレイ、いいね! 平蜘蛛スーツで四つん這い、いいね! と形而上のいいねボタンを押しているうちにシナリオが終わった。

  • 「川神いい加減にしろよ」「ノーカラテ・ノーニンジャ」など、今「まじこい」こそエロゲ界で一番忍殺パロが盛り込まれたタイトルなのでは。
  • クロエ・ルメールネタの仕込みからシナリオが書かれた時期を推測する遊び。

ステイシー・コナー

熱く元気が出る「まじこい」らしい話だった。2009年から3年後ということで大和も徐々に武力を身につけつつあるところ、バトル物の様相もあって面白い。肝心のステイシーさんはテンションの上がり下がりが激しく、最初は面倒さも感じさせるけど、一緒に過ごしていくうちに独特のノリが楽しくなってきた。ダウン時にもアップ時にもそれぞれのかわいさがある。素で美人だから髪をくくったりおろしたりするだけで新鮮なときめきを覚えた。
また、各キャラの2012年における姿を見聞きできるのもこのルートの魅力だった。選択肢次第では千花と男女の関係になっていて軽い驚きがあったけど、こういうのもシリーズ内では新しくていいね。
タレ目派からの刺客(?)シェイラ・コロンボちゃん、蓋を開けたらかわいかった。ころっと大和に惚れちゃうところもよし。スキルも有用で実務もできるっぽいし、従者層がまた厚くなった感あり。シェイラちゃんとの結婚エンドもそれはそれで、といういつものやつ。
従者といえば他にチェ・ドミンゲスやラウル、ドキューなどといった従者にもディティールが追加されてどんどん濃くなってきた。あずみさんや李さんもいるし九鬼が働きがいある職場化してて何よりね。そんな従者若手面子で序列争奪が行われるわけだけど、若手はいいとこ壁越え手前くらいの強さだからマスタークラスのような大味さがなくて逆にバトルが面白いというところはあった。今作であずみ・李・ステイシーのそれぞれに従者部隊序列1位になった時の異なる長所がある、というところが示されたのは興味深かった。
ステイシーさんのウルトラロックはハチワンダイバーを思い出させる。まじこいAパッケージ版ではUR状態での獣のようなSEXとか追加されないかね。

  • モロが言う「仲間だからこそ…かっこ悪くて言えないこともあるんだ」っていうの、すごくわかるなあ。

  • テキスト、気の置けない仲間同士での打ち解けた会話っていうのがほんと飛躍的に巧くなってると感じた。あまりに自然で言語化することすら忘れそうなのでメモしておく。
  • 今回CGの塗りがかなりよかったと思う。燕さんやステイシーさんがお風呂入ってる時の肌の質感とか。全体的に肌の感じはどれも柔からさがあって好みだった。
  • BGM、書き下ろし曲は「さざなみ」「この女性、猛禽類につき」「覇を競う者たち」「優雅で勇敢な人の曲」「ぽかぽかびより」の5曲で合ってるはず。どんどん曲が増えていく。「この女性、猛禽類につき」は曲名も含めてミサゴさんらしくて好き。あとシェイラちゃんの「24時のメイドさん
  • まゆっち役九条信乃さん復帰おめでたい。やっぱりこの人じゃないとしっくりこないフレーズっていうのがあるんだよね。
  • チュートリアル、ムサコッスはA4・A5でどこへ向かっていくんだろう……
  • 掛け合い集
    • 南斗星さんがティンカオと再会できたようでよかった。
    • 魔まマ叛逆パロディのケーキの歌がひどい。
  • A4、攻略人数と値段が変更になるかもしれないとのこと。焔ルートは大和「達」が九州に行くお話、林冲ルートは梁山泊が川神に来るお話ということらしい。2014年夏、また数ヶ月ゆっくり待とう。

まとめ

母性に近い愛で包んでくれる李さん、イニシアティブ次第で豊かな可能性を魅せるリトル・デビル燕さん、ロックンロールな姉貴分ステイシーさん、三者三様のお姉さん達との明るく楽しい日々が存分に味わえて嬉しい。テキスト・原画・演出等各要素もさらによくなってきているし、「まじこいA-3」はシリーズの中堅どころとして大役を果たしたと思う。いいゲームだった。
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