タカヒロ論「憧れのあとさき」後記

書籍版あとがき

そんなわけで。美少女ゲームとそれを語る言葉に惹かれ、ついにこのような作家論を執筆するに至りました。勢い余って長大な文章となってしまい申し訳ありません。本論に対するご意見・ご感想をお待ちしています。
論考対象であるタカヒロ氏に改めて敬意を表します。また、編集者then-d氏を初め、前書と本書における論者の方々や、交流させていただいているゲーマーの方々には本論を書くにあたって多大な恩恵を受けたことを深く感謝します。
それではまた、憧れのあとさきでお会いしましょう。

改稿表

「恋愛ゲームシナリオライタ論集2 +10人×10説」の原文から今回のWeb版を公開するにあたって改稿した部分をここに記す。

p.104

原文:[…]記述された世界は確かに偽史であるけれども、
改稿:[…]記述された世界は確かに偽史的であるけれども、

p.106

原文:[…]タカヒロは何故かここにおいて美少女ゲームの「お約束」を守り続けている。
改稿:[…]タカヒロはここにおいて美少女ゲームの「お約束」を守り続けている。

p.112

原文:犬神帆波と犬神歩笑という二人の姉妹がヒロインとして追加された本作は、抜きゲーよりだった前作から転身し、いわゆる「萌えゲー」として展開した。
改稿:犬神帆波と犬神歩笑という二人の姉妹がヒロインとして追加され、明るい主題歌が付き、要芽に復讐するという目標がなくなった本作は、前作よりもいわゆる「萌えゲー」の色を濃くしている。

p.113

原文:9791は「姉しよ2」が[…]
改稿:レビュアーの9791は「姉しよ2」が[…]

p.118

原文:両親がを亡くした久遠寺三姉妹は
改稿:両親を亡くした久遠寺三姉妹は

p.119

原文:執事として新たにその姿を更新させたという森羅の、延いてはタカヒロの自負が見られる。
改稿:執事として新たにその姿を更新させたという森羅の自負が見られる。

Web版あとがき

「恋愛ゲームシナリオ論集2+10人×10説」の原稿執筆当初、タカヒロ論は僕ことhighcampusとなしお(id:LoneStarSaloon)氏の二人が担当するはずでした。僕の構想では、僕が総論、なしお氏が各論的なことを書くことでうまくネタかぶりせずにタカヒロの全てをカバーできると思っていました。

上記のようななしお氏の言葉もあり、「プロフィールと作品史を大まかにまとめて、クリティカルな論考はなしおさんに任せればいいだろう」と気楽に考えていたところ、なしお氏がWeb上で行方不明になってしまいました。あの時は大層焦りましたよ! おかげ様で、一人でやるしかないというプレッシャーを力に変えてなんとか総論+各論を仕立てることができました。
執筆のモチベーションとなったのは「俺がタカヒロの素晴らしさを喧伝するんや!」という気概、特に2ch的な評価に対する強い怒りでした。執筆当時、2chbbspink周辺を観測した限りでは、タカヒロ作品といえばパロディネタと豪華な声優陣ばかりが取り沙汰され、それ以外の要素に光が当てられることはほとんどありませんでした。タカヒロ作品から(大げさに言えば)生きる元気をもらった僕にとって、それは到底我慢できることではなかったのです。
本文の内容を振り返ると、気負ったあまり前のめりになっているところが散見されて恥ずかしいです。参考文献として多くの書籍・URLを挙げて無茶な援用をしていますが、それも「俺の好きなタカヒロを正当化できればなんでもよかった。今は反省している」という感じですね。
初稿が書かれた2010年はちょうど「まじこい」と「まじこいS」の間の時期にあたり、区切りとしてはいいタイミングで書けたものだと考えています。
「+10人×10説」頒布後の2011年には、様々な方から本論に対して反応を頂き、嬉しく思っています。今回の改稿にあたって参考にさせてもらいました。特に、復活したなしお氏からお褒めの言葉を頂戴した時には報われた気がしました。
2012年現在、タカヒロ氏は変わらずにみなとそふとでゲームを作り続けており、社内の仕事としては「まじこいS」に続いて「まじこいA」や「辻堂さんの純愛ロード」の企画に携わっています。これからも一人のファンとしてその活動を追って行く所存です。
前述した2ch的な評価は未だWeb上から払拭されきっておらず、掲示板で「タカヒロはパロと声優だけ」という主旨の書き込みを見る度カチンと来ることに変わりはありません。しかし、「タカヒロ論を書いて世に問うた」という自負があるだけ、以前よりも心中穏やかに過ごせています。
本論をWebに公開したことで、より多くの方にタカヒロ氏の魅力が伝われば喜ばしい限りです。
最後に、この論考を敬愛する川神一子へ捧げます。