ゲーム「恋神 -ラブカミ-体験版」 感想

そんなわけで。PULLTOP「恋神-ラブカミ-」体験版をプレイしたので感想を書いていくよ。
本感想文は、PULLTOP公式サイトにおける「夏休みの『カミサマ降臨!学園生活・体験版』読書感想文コンクール!」に送付したものだ。
「夏休みの『カミサマ降臨!学園生活・体験版』読書感想文コンクール!」

システム、ビジュアル、演出

まず外形的なところから。
コンフィグ項目やクイックセーブ&ロード等のシステム面はしっかりと作ってある。個人的にはクイックセーブした際に音だけが鳴ってメッセージによる確認がないというところがポイント高い。
ビジュアルはゲームイメージに合わせて、全体的に「和」を意識している。例えば、テキストウインドウは和紙の素材感を出してデザインされているし、「おしえて神様」のコーナーにおけるSDキャラの輪郭線は筆で描かれている。
そういった和風の画面構成と対照的に、背景画像には(どちらかと言えば)洋風デザインのものが多い。例えば主人公の自宅は床がフローリングになっているし、校舎の内装も一般的なものより洋風の色が強い。これらはおそらく意図的に為されている。背景が全体的に洋風デザインになっているからこそ、神社はもちろんのこと、園芸部部室のように畳が敷いてあったり、校長室のように神棚が備えてある部屋が「神様の居場所」であることが分かりやすくなっている。
演出は少々くどいところがあるものの、画面を小気味よく動かしてプレイヤーを飽きさせない。前述の「おしえて神様」のコーナーも、読むかどうかが任意だからテキストを読む邪魔にはならないし、なおかつアイコンが出ることでクリックしたくなる気持ちを煽ってくるという良いデザインになっている。
ただ、大半のプレイヤーにとっては慣れない単語が頻出することになるので、おまけで「おしえて神様」の回想を用意したり、用語集が用意されているとなお良い。例えば、重要語は文中に赤い字で示され、クリックすると一通りの説明が表示され、以後用語集に登録されていつでも閲覧可能、とか。

キャラクター

このゲームで印象に残るのは、やはり主人公である北里颯太のべらんめぇ口調だ。この江戸っ子気風についていけるかどうかが、このゲームを楽しむための重要なポイントだろう。
さて、日本のことわざに、「東男に京女」というものがある。

男はたくましく粋な江戸の男がよく、女は優しい京都の女がよい。よい組み合わせの例。

東男に京女(あずまおとこにきょうおんな):ことわざデータバンク

ここから、颯太の江戸っ子気風との相性という点に絞って、各ヒロインごとの相性を考える。表面的な会話だけを見れば、おっとりとしたイワナあたりと相性が良いということになるけれども、果たしてメインヒロインであるウサギ、いつき、サクヤ、イナリにはワンチャンあるのだろうか?
颯太-いつきは擬似的な弟-姉の関係にあり、いつきは颯太の江戸っ子な気風も含めて理解し優しい目で見ていることが読み取れるため、十分に可能性がある。
ウサギ、サクヤ、イナリたち神様勢は、颯太の幸魂に惹かれている節がある。幸魂の発現としての江戸っ子気風(的行動)を受け入れる、という形で結ばれることは、これも十分にあり得る。
ただしウサギについては、幸魂よりは颯太と一度会っている過去の方に想いの重心があるようなので、なかなか読めない。そのかつての出会いにおいても颯太は江戸っ子気風を発現しているので、結局は幸魂の問題に回収されるのかもしれない。
全体的に、このゲームのキャラクターは二面性を持っている。神様勢の場合は荒魂と和魂(幸魂、奇魂)という形で、いつきの場合は颯太をやり込める姉と颯太を想う幼なじみという形で、そして颯太は通常状態と燃え状態という形で。製品版シナリオ後半部では、それぞれの二面性が複雑に交錯するコミュニケーション、その化学反応に期待したい。

最後に一つ。主観的に最も魅力あるヒロインはウサギである。このゲームがまさしく「神ゲ―」となるかどうかは彼女にかかっていると言っても過言ではない。喜ぶツクヨミ、落ち込むツクヨミ、怒ったツクヨミ、はしゃぐツクヨミ、どの表情も素晴らしい。ツクヨミかわいいよツクヨミ
この感想文は、ツクヨミに対する僕の気持ちを万葉集から引いた歌で表し、締めることにしよう。
月読の 光りは清く 照らせれど 惑へる心 思ひあへなくに なう。