そんなわけで。
「世界が曖昧なのが苛立つんでしょ」という茜さんの言葉が印象に残る。
登場人物の役どころ(この人は助っ人キャラだとかこいつは悪役だとか)があからさますぎる感じはした。作中に配置された謎もきっちり全て明瞭に解説されてしまうところに、対象読者層の年齢の低さが見える(この本は図書館のティーンズコーナーに置かれていた)。脅威は正体が分からないから脅威なのであって。
ただ、ラストシーンで香織が決定的に喪失した「何か」だけは秘められているところがよい。
作中で香織と滝田が澁澤龍彦を面白そうに語っていたので興味を持った。「東西不思議物語」と「秘密結社の手帖」を読書メーターの読みたい本に登録しておこう。
雨と水とオカルトが好きな人におすすめ。
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